訪れない眠気を誤魔化すように毛布を頭から被り直す。ルークは身を縮め込ませた。
 恐怖に震えるような感触が。
 肉を切り裂くその一瞬。恐怖と、絶望に歪む表情。刃が躰に食い込む瞬間。柄に伝わる手応え。
 ――命を、奪うということ。
 本能的な恐怖が頭から焼き付いて離れない。最初にこの手に掛けたのは、《神託の盾》オラクルの騎士。
 それまで、魔物なんか平気で倒せていたはずなのに、剣を握るという事に恐怖を覚えた。

「くそっ」

 一番壮絶な死に方をした男の顔をありありと思い出して、ルークは悪態を吐いた。
 幸いな事に、いつも纏り付いてうるさいチーグルの仔供は足元でぐっすりと眠りこけている。
 初めて人を殺めた時からそうだった。気がつくと恐怖に震え、眠れない夜を過ごしている。割り切ったと、平気だと見栄を張った以上、ガイにも弱い所は見せられなかった。
 無理矢理眠る事で、気付かない振りをした。

 ――帰り着ければ、もうこんな想いはしなくて済むのだと。

嘲笑う声